新鋭チェルピンスキーが金メダル!

ショーターの五輪連覇の夢を砕く!

 

1976年 モントリオール・五輪(カナダ)

 

バスケットボール女子やボート競技、ハンドボールが初採用された五輪は、人種差別政策の問題からタンザニアを中心としたアフリカ22か国がボイコットする波乱の大会となったが、新体操のコマネチ(ルーマニア)や日本女子バレーボールの金メダルなど話題の多い大会でもあった。

陸上ではカリブ海諸国の活躍が目立つ中、男子中距離のファントレナ(キューバ)が、大会史上初の400mと800mの2冠を獲得した。男子長距離ではヴィレン(フィンランド)が5000mと10000mを制して2大会連続の2冠を達成。ザトペック以来の長距離3冠を目指してマラソンにも出場し、初マラソンながら5位に食い込んだ。男子やり投げではネーメト(ハンガリー)が大会史上初の親子金メダリストに輝き話題となった。

日本は不振で、1920年のアントワープ・五輪以来となる入賞者なしに終わった。

 

7月31日、男子マラソンは小雨の降る涼しい天候でマラソン日和となったが、1年前のプレ大会では35度を超える気温だったことから、暑さ対策をしていた日本選手はあてが外れることとなった。レースはワトソン(イギリス)がスタート直後から先頭に立ちレースを引っ張ると、5kmを過ぎてから五輪連覇を狙うショーターとロジャースのアメリカ勢が先頭に立ちハイペースでレースを引っ張る。日本勢は5kmを過ぎて宇佐美と水上が先頭集団から早くも遅れ始める。ハイペースのまま10kmを20人ほどの先頭集団が通過したが、日本勢で唯一がんばっていた宗も15kmを過ぎて後退した。23kmを過ぎてショーターがペースアップして集団から抜け出すと、28kmでチェルピンスキー(東ドイツ)が追い付きマッチレースに。30kmでは3位争いが激化。ドレイトン(カナダ)とシヴァ・シン(インド)が並走する後を、ヴィレン(フィンランド)、リスモン(ベルギー)、ロジャース(アメリカ)が5秒から10秒間隔で続く。先頭争いは、ショーターの揺さぶりにも動じず全く前に出ようとしなかったチェルピンスキーが34kmで満を持してスパートすると、ショーターは付けずそのまま独走。チェルピンスキーが自己最高記録を大幅に更新する会心の走りで金メダルを獲得した。ゴールを信じられなかったチェルピンスキーは、念のためとトラックを1周多く走ったため、ゴールラインで先に待っていたショーターの祝福を受けるという珍場面が見られた。ショーターは五輪連覇の夢は叶わなかったものの銀メダルを獲得。銅メダル争いは順位が大きく変わる大混戦の中、リスモンが30kmを過ぎてから猛烈に追い込んできたカードン(アメリカ)とのトラック勝負を制して、2大会連続メダルとなる銅メダルを獲得した。ザトペック以来の長距離3冠に挑んだヴィレン(フィンランド)が、初マラソンながら5位に食い込んだ。

日本勢は前半からハイペースの展開について行けず、宗が20位、前半は最後方にいて中盤から猛烈に盛り返した水上が21位、宇佐美が32位と3大会ぶりの入賞者なしに終わった。

 

Resalt

 

7月31日

1位 W・チェルピンスキー(東ドイツ)  2.09.55 五輪最高記録

2位 F・ショーター(アメリカ)     2.10.45

3位 K・リスモン(ベルギー)      2.11.12

4位 D・カードン(アメリカ)      2.11.15

5位 L・ヴィレン(フィンランド)    2.13.10

6位 J・ドレイトン(カナダ)      2.13.30

20位 宗 茂(旭化成)         2.18.26

21位 水上 則安(八幡製鉄)      2.18.44

32位 宇佐美彰朗(桜門陸友会)     2.22.29